恋愛においてn股(n≧2)をする人間がいるらしい。
普通はn股をする際にはそれぞれにバレないように付き合うものらしい。
しかし、時には恋人がいるということを知られながらも、「今の恋人とは上手くいってなくて……」と言い、具体的に「上手くいってなさ」を説明することによって、「今の恋人」を言わば「サブ恋人」とし、新しく言わば「メイン恋人」を作るというケースがあるらしい。(妄想)
これには恋人を増やすことと同時に、さらに二つの目的がある。次の二つだ。
目的①(外的目的)
「サブ恋人」との「上手くいってなさ」を説明することによって、新たな「メイン恋人」に「自分が守ってあげないと」という庇護欲をかき立てること
目的②(内的目的)
「『サブ恋人』に対する悪口を言いたいという欲求」を満たすこと
またここで、twitterアカウントの概念を導入する。
twitterにおいては鍵アカウント(以下鍵垢)という特定の人間にしかツイートを見えないようにできるアカウントを作ることができる。
先ほどの目的①「庇護欲をかき立てること」、目的②「『サブ恋人』に対する悪口を言いたいという欲求を満たすこと」をtwitter上でも果たすために、この鍵垢が必要になってくる。
そして、労力を減らすために、鍵垢数を最小にしたい。これは、「n股(n≧2)する際の鍵垢数最小化問題」である。
また、簡単のために適宜、条件(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)を加えるので、「条件(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)を満たしつつn股(n≧2)する際の鍵垢数最小化問題」とする。
以下解答。
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まず条件として、2股目である「メイン恋人」は1股目である「サブ恋人」がいると分かっていながらも付き合う。
条件(ⅰ)
2股目以降の恋人は、別に一人の「サブ恋人」がいると分かっていながらも付き合う
twitter上ではまず鍵垢Aを作る。
1股目の「サブ恋人」に見せるのは、「鍵でないアカウント」の一つのみである。
次に、2股目の「メイン恋人」に見せるのは、「鍵でないアカウント」と「鍵垢A」の二つだ。
鍵垢Aで1股目の「サブ恋人」に対する悪口ツイートを、1股目のサブ恋人には見えないように、つぶやく。
これにより、目的①②を果たせる。すなわち、鍵垢Aで1股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、2股目の「メイン恋人」のもつ庇護欲をかき立てることができるようになる。
これで、「2股」の完成だ。
次に3股目に移ろう。3股目に対しても「今の恋人とはうまくいってなくて……」と言って具体的に「上手くいってなさ」を説明する。これによって、3股目の庇護欲をかき立て、3股目が「メイン恋人」になる。
ただし、ここで悪口を言う対象である「今の恋人」とは2股目を指す。
なぜなら、先ほど述べた「『サブ恋人』に対する悪口を言いたいという欲求」を満たさなければならないからである。
条件(ⅱ)
全ての「サブ恋人」に対して悪口を言う
(定義:「サブ恋人」とは、最新の恋人である「メイン恋人」以外の恋人全員を指す)
また更に、「m股してんのかよコイツ!(m≧3)」と思われると、mが大きくなればなるほど、相手は恋人になるのを避けるだろう。せめて、相手には「2股」だと思わせたい。
条件(ⅲ)
3股目以降の恋人にも、「2股」だと思い込ませる
そこで、1股目には触れず、2股目のみを「今の恋人」として悪口を言えばよい。
そしてこの「今の恋人」(2股目)を「サブ恋人」にして、3股目に新たな「メイン恋人」の地位を与える。
なおこのとき、2股目の恋人に対しては何も言っていないので、2股目の恋人は自分のことを「メイン恋人」だと思い込んでいる。
さて、twitter上で考えてみよう。鍵垢の数は何個になるだろうか。
1股目と2股目は先ほどと同様だ。おさらいのため、見えているアカウントを表にすると次のようになる
1股目:鍵でないアカウント
2股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
では、3股目に見せるアカウントはどうなるだろうか。ここで、2股目に対する悪口ツイートを含んだ鍵垢は2股目に見せることはできない。そのため、2股目に対する悪口ツイートのできる鍵垢をもう一つ作らなければならない。よって、新しい鍵垢を作る(鍵垢B)
3股目に見せるアカウントは、
3股目:鍵でないアカウントと鍵垢B
である。
ここでは、
鍵垢A:1股目に対する悪口ツイートをする。
鍵垢B:2股目に対する悪口ツイートをする。
ということになる。これで、目的①②も果たせる。
すなわち、
鍵垢A:1股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、2股目のもつ庇護欲をかき立てることができる。
鍵垢B:2股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、3股目のもつ庇護欲をかき立てることができる。
これで、「3股」ということになる。
次に4股目に移ろう。4股目に対しても「今の恋人とはうまくいってなくて……」と言って具体的に「上手くいってなさ」を説明する。これによって、4股目の庇護欲をかき立て、4股目が「メイン恋人」になる。
ただし、ここで悪口を言う対象である「今の恋人」とは1股目と3股目を指す。
3股目に悪口を言うことで、条件(ⅱ)である「全ての『サブ恋人』に対して悪口を言う」を満たせる。
なお、なぜ1股目の分の悪口も言わなければならないかは後で鍵垢のところで説明する。
ここでは、1股目と3股目を統合し、一人の人格の「今の恋人」として二人分の悪口を言う。これによって、4股目の恋人からは「今の恋人」は一人かのように見えるだろう。
そしてこの「今の恋人」(1股目と3股目二人分で一人の人格)を「サブ恋人」にして、4股目に新たな「メイン恋人」の地位を与える。
先ほど同様、3股目の恋人に対しては何も言っていないので、3股目の恋人は自分のことを「メイン恋人」だと思い込んでいる。
twitter上で考えてみよう。先ほどのおさらい。見せるアカウントは、
1股目:鍵でないアカウント
2股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
3股目:鍵でないアカウントと鍵垢B
では、4股目に見せるアカウントはどうなるだろうか。労力を避けるため、できるだけ鍵垢は作りたくない。そこで、鍵垢Aによって3股目の悪口ツイートをする。
よって、4股目に見せるアカウントは、
4股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
である。
ここでは、
鍵垢A:1股目と3股目の二人分、に対する悪口ツイートをする。ただし、外から見ると一人に対して言っているかのように見える。
鍵垢B:2股目に対する悪口ツイートをする。
ということになる。
これで、目的①②も果たせる。
すなわち、
鍵垢A:1股目と3股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、2股目と4股目のもつ庇護欲をかき立てることができる。
鍵垢B:2股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、3股目のもつ庇護欲をかき立てることができる。
これで、「4股」ということになる。
5股目以降も同様を手続きを踏む。これ以上は鍵垢は増えない。
試しにn=10、10股で表を作ってみよう。
各恋人に見せるアカウントは
1股目:鍵でないアカウント
2股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
3股目:鍵でないアカウントと鍵垢B
4股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
5股目:鍵でないアカウントと鍵垢B
6股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
7股目:鍵でないアカウントと鍵垢B
8股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
9股目:鍵でないアカウントと鍵垢B
10股目:鍵でないアカウントと鍵垢A
また、各鍵垢の動向は、
鍵垢A:1・3・5・7・9股目の五人分、に対する悪口ツイートをする。ただし、外から見ると一人に対して言ってるかのように見える。
鍵垢B:2・4・6・8股目の四人分、に対する悪口ツイートをする。ただし、外から見ると一人に対して言ってるかのように見える。
ということになる。
これで、目的①②も果たせる。
すなわち、
鍵垢A:1・3・5・7・9股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、2・4・6・8・10股目のもつ庇護欲をかき立てることができる。
鍵垢B:2・4・6・8股目の「サブ恋人」に対する悪口を言いつつ、3・5・7・9股目のもつ庇護欲をかき立てることができる。
一般化すれば、
鍵でない垢:全員に見える。
鍵垢A:偶数股目の「サブ恋人」に対する悪口ツイートをする。それが、奇数股目の恋人全員に見える。
鍵垢B:奇数股目の「サブ恋人」に対する悪口ツイートをする。それが、偶数股目の恋人全員に見える。
ということになる。
新たに恋人を増やす際には、最新の恋人を「サブ恋人」に格下げし、次の恋人を「メイン恋人」にすればよい。
鍵垢数の最小値はn=2のとき1、n≧3のとき2である。■
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こうして、「条件(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)を満たしつつn股(n≧2)する際の鍵垢数最小化問題」は解けた。